研究概要 |
1.相互拡散とカーケンドール効果を利用した金属中空ナノ粒子の作製 拡散係数の大きいAuナノ粒子(直径10nm)を拡散係数の小さいPd(厚さ20nm)で被覆したコアシェル型Au/Pdナノ粒子を300〜400℃でアニールすると,粒子中心部にボイドが形成され中空構造となった.ボイドの大きさは,Au粒子のサイズと同等であり,AuがPd側へ外方拡散したと考えられる.拡散係数の差が大きく,かつ,互いの固溶度が大きいような異種金属のコアシェル構造において,相互拡散により中空粒子が得られる可能性が示唆された. 2.金属ナノワイヤーの酸化による酸化物ナノチューブの形成 直径約50nmのCuナノワイヤーを大気中150℃1hr,Feを300℃1hr酸化させると,それぞれCu_2OおよびFe_3O_4ナノチューブが形成された.一方,Niナノワイヤーを400〜500℃で酸化させると断片化された内部ボイドを有する構造体となった.Fe_3O_4ナノチューブを400℃以上で酸化させると,酸化層の内壁に沿ってナノボイドが配列したユニークな2重ポーラス構造体が得られた. 3.酸化鉄ナノ中空およびナノポーラス粒子の作製と磁気特性の評価 Fe_3O_4ナノ中空粒子の磁気特性を評価するため,Feナノ粒子からFe_3O_4ナノ中空粒子を得るための酸化条件の検討を行った.Feナノ粒子を400℃で酸化させるとFe_3O_4ナノ中空粒子が,500℃〜600℃で酸化させるとγFe_2O_3ポーラスナノ粒子が形成された.現在,これらの条件に基づいて作製したナノポーラス粒子の磁気特性をSQUIDを用いて測定している.
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