研究概要 |
阪大では、電磁波解析の専門家である米国ペンシルバニア州立大のE.Semouchkina助教授と共同研究を開始し、メンジャースポンジ構造における電磁波局在の測定結果とFDTDモデリングが一致し、局在はスポンジ構造の前部に集中していることが確認された。メンジャースポンジの変形構造でも電磁波局在が観測され、経験式で予測される局在周波数によく一致した。アルミナ製マイクロフォトニックフラクタルも作製し、数百GHzのテラヘルツ領域で局在が確認された。またフォトニック結晶内にメンジャースポンジを埋め込み、より効率的な局在を果たす構造を作製した結果、バンドギャップ内にフラクタル構造による局在ピークが現れ、Q値が30%向上することを確認した。 信州大では、カントールバー型一次元フタクタル構造を持つマイクロストリップラインと、比較のためにフォトニック結晶に欠陥構造を挿入したライン等を作製した。ステージ数3と4においてフォトニックギャップ内に局在モードに対応する鋭い透過ピークが現れた。数値解析により、カントールバー中の局在モードは、ライン全体に広がった空間パターンを持つことが分かった。局在モードのQ値はほぼ自己相似性を保つ構造において一番高いことが判明した。 物材研では、FDTD法による数値解析を発展させて,金属メンジャースポンジに適用し,局在モードの固有周波数,電磁場分布,共振のQ値を算出した。さらに,電子軌道の局在性が高い場合に精度のよい分子軌道計算が可能なLCAO法をフラクタルの局在電磁モードに拡張,適用することにより,フラクタルに固有なスケーリング則を見出した。 以上のようにフォトニックフラクタルの電磁波局在に対する実験的、理論的解析が進むと共に、テラヘルツ波を制御するセラミックス製マイクロフォロニックフラクタルの作製研究も進展し、応用への糸口が掴める段階に達した。
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