研究概要 |
本研究で目標とするオンサイトGTLプロセスを構築するためには,合成ガス製造とFischer-Tropsch合成(FTS)反応,それぞれの反応において高活性触媒が不可欠である.本研究では従来にない高活性触媒の調製を,新規触媒調製法の開発,in-situ触媒表面観察法およびコンビナトリアルツールの開発,によって試みる.本年度の主な成果を以下に記す. 合成ガス製造(部分酸化反応):HTS反応システム(split&pool調製法,高圧HTS反応器,活性検出器により構成)を96種類の触媒対応に改良することで3元系触媒の探索が容易となったため,非貴金属,非Ni系の新規触媒探索に用いた.一方,添加物元素の物性値から添加効果を推定する探索手法を用いてNi/アルミナ触媒の添加物を探索しSc, Ndを見出した.従来の報告では添加物によるMアルミナ触媒の活性向上は1.3〜1.7倍程度であった.しかし,Sc, Nd添加ではNi/アルミナ触媒に比べて3倍以上,現行のNi/MgO触媒の活性と比べても2〜3倍の活性向上と,顕著な添加効果が見出された. FTS反応:申請者らはこれまでに,Co/SiO_2触媒の調製時にキレート剤を用いると,FTS活性(C_<10>-C_<20>の空時収量)が50gkg-cat^<-1>h^<-1>から最大で200gkg-cat^<-1>h^<-1>に向上することを見出している.本年度はこのキレート剤の作用機構を明らかにするため,触媒調製の各過程におけるCo種の構造を調べ,含浸溶液中での錯形成によって乾燥,焼成過程でのCo種の熱的安定性が向上し,それがFTS活性の向上をもたらすという新しいメカニズムを見出した.さらに,キレート剤を用いた触媒調製法を改良することによって,FTS活性が800gkg-cat^<-1>h^<-1>に達することも見出した.この活性は,これまで文献に報告されているチャンピオンデータの2倍以上高い.
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