研究課題/領域番号 |
17107003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
須藤 和夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (20111453)
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研究分担者 |
栗栖 源嗣 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90294131)
昆 隆英 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助手 (30332620)
大岩 和弘 情報通信研究機構, 生体物性グループ, グループリーダー (10211096)
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キーワード | 細胞質ダイニン / 微小管滑り運動 / ATP加水分解 / 蛍光エネルギー遷移(FRET) / GFP / アロステリック相互作用 |
研究概要 |
本研究では、我々が世界に先駆けて開発した細胞質ダイニン重鎖発現システムを用い、種々の組換えダイニンを作成することで、ダイニン滑り運動の分子機構を明らかにすることが目的である。ダイニン重鎖にはモータードメイン当たり複数のATP加水分解部位が存在しており、ただひとつの加水分解部位しかもたないミオシンやキネシンといったモータータンパク質とその作動機構が大きく違っていると予想される。本年度は、この複数の加水分解部位が微小管滑り運動にどのように関わりあっているかを、GFP-BFP系を基礎にした蛍光エネルギー遷移(FRET)法で明らかにした。尾部末端にGFPを融合させ、BFPをダイニンモータードメインのAAAリングに挿入したコンストラクトは、ATP加水分解にともない大きなFRET変化を示し、これは尾部のスイングに対応する。そこで、これを光学プローブとし、AAAリング内の複数のAAAモジュールひとつひとつのWakerBモチーフにトラップ変異を導入したコンストラクトを用いて、AAA1、AAA3そしてAAA4モジュールがATP加水分解を担い、AAA2モジュールはADP結合部位であることを明らかにした。さらに、AAA1モジュールでのATP加水分解が尾部のスイングを引き起こし、微小管滑り運動に直接関わっていることも明らかにした。AAA1,AAA3そしてAAA4のATP加水分解部位は互いに強く共役しており、AAA3とAAA4の加水分解が滑り運動に果たす役割を解明することが次の課題となっている。
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