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2009 年度 実績報告書

ダイニン組換え体と、その構造・動態に基づくエネルギー変換機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17107003
研究機関東京大学

研究代表者

須藤 和夫  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (20111453)

キーワードダイニン / ATP加水分解反応 / プロセシビティー / 微小管 / AAAリング / ストップトフロー / モータードメイン / ヘテロダイマータグ
研究概要

本年度は、モータードメイン2量体中のふをつのAAAリング間の相互作用を調べることに焦点をてた.このため、まずモータードメインの微小管結合部位のk3387をアラニン残基に置き換えた変異モータードメインを作成した.このK3387A変異体は、微小管がないとまったく野生型と変わりないが、微小管とはヌクレオチドの有無にかかわらず結合しない.微小管と結合できないK3387A変異モータードメイン(K3387A)と野生型モータードメイン(WT)を、我々が開発したヘテロダイマータグで2量体化する.このK3387A/WT2量体をADP存在下で微小管に結合させ、ストップトフロー装置でATPと高速混合する、混合後のK3387A/WT2量体・微小管複合体の解離を濁度変化で追うと、見かけ上一次反応で近似できる.この見かけ上の反応速度はほぼ20/sであった.この速度は最初のADP濃度を2mMから0.1mMまで下げても変わらなかった.ところがまったくADPを除くと、速度は100/sまで上昇した.一方、単頭のモータードメインでは解離速度は200/sであったこれらの実験結果は、K3387A/WTヘテロ2量体では、片足(K3387A)が微小管に結合していないにもかかわらず、微小管に結合した足(WT)はK3387Aの存在を認識しており、その結果、ATP加水分解の律速段階が単頭モータードメインのリン酸放出(~200/s)からADP放出(~20/s)に変わることを意味している.つまり、微小管上では2量体の各モータードメインのATP加水分解は強く相互作用しており、単独でいるときに比べて大きく変化したキネティックスを示す.このような相互作用は、ミオシンやキネシンで見られるような、微小管上での「力を介した」ものではなく、むしろモータードメインのAAAリング間の直接の接触を介している.ダイニンが長距離にわたって微小管上を二束歩行するには、ADP放出が律速段階で、かつ他の反応ステップに比べて極めて遅いことが求められるが、モータードメイン2量体形成で自律的におこるこのATP加水分解反応ステップの変化は、これを保障している.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] AAA+ring and linker swing mechanism of the dynein motor2009

    • 著者名/発表者名
      Roberts, A., Numata, N., 等
    • 雑誌名

      Cell 136

      ページ: 485-495

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Helix sliding of stalk coiled coil of dynein couples ATPase and microtubule bindin2009

    • 著者名/発表者名
      Kon, T., Imamula, K., 等
    • 雑誌名

      Nature Structutal & Molecular Biology 16

      ページ: 325-333

    • 査読あり

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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