研究課題/領域番号 |
17107004
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中山 敬一 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80291508)
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研究分担者 |
白根 道子 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (90398082)
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キーワード | 神経突起 / 膜輸送 / Protrudin / NGF / Rab11 / ERK / リサイクルエンドソーム / FYVEドメイン |
研究概要 |
Protrudinはわれわれが近年発見した膜タンパク質で、小胞膜輸送の制御により神経突起形成を誘導する分子であるが、そのC末端側の脂質結合ドメインであるFYVEドメインの機能は今まで不明であった。FYVEドメインはPI(3)Pに結合し膜融合などに働くドメインとして知られているが、ProtrudinのFYVEドメインはPI(3)Pとの結合が認められなかった。そして、ProtrudinのFYVEドメインが、神経系の脂質ラフトに豊富な硫酸化糖脂質に結合することを新たに見出した。今回われわれはProtrudinノックアウトマウスを作製し、その異常を検討した。このノックアウトマウスは外見上正常に産まれてきたが、数ヶ月後より進行性の麻痺を呈することがわかった。Protrudinが結合する硫酸化糖脂質について、野生型マウスとProtrudinノックアウトマウスの脳で比較したところ、総量には差が無かったが、Protrudinノックアウトマウスでは脂質ラフトにおける量の減少が認められた。またProtrudinノックアウトマウスではパラノード形成が不全で、電位依存性イオンチャンネルの分布が乱れていた。以上の結果から、有髄神経において、ProtrudinはRabllを介する小胞膜輸送により硫酸化糖脂質の脂質ラフトへの選択的輸送を制御していることが示唆された。そしてその結果、正常な軸索ドメイン形成と電位依存性イオンチャンネルの分布に寄与していることが明らかになった。いっぽう、Protrudinノックアウトマウスでは、硫酸化糖脂質を介した有髄神経軸索ドメインの形成異常により、進行性の麻痺を発症することが明らかになった。
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