研究課題
Protrudinはわれわれが近年発見した膜タンパク質で、小胞膜輸送の制御により神経突起形成を誘導する分子である。昨年度までにわれわれの研究によって、ProtrudinはそのN末端にあるRBDドメインでRab11と、C末端に位置するFYVEドメインで硫酸化脂質に結合することを明らかにしてきた。また、われわれが作製したProtrudinノックアウトマウスでは生後数ヶ月より進行性の麻痺を呈することがわかった。ちなみにわれわれの共同研究者である高知大学のグループによってすでに硫酸化脂質の合成酵素のノックアウトマウスは同様の表現型を呈することが報告されている。本年度はRab11の関与が示唆されているスパイン形成について、Protrudinと硫酸化脂質の役割について解析を進めた。ProtrudinのFYVEドメインをGFPに融合させ、その分布を調べたところ、スパイン部分に強いシグナルを観察した。また硫酸化脂質に関しても同様の発現パターンを呈することがわかった。さらにProtrudinノックアウトマウスにおいても硫酸化脂質の合成酵素のノックアウトマウスにおいても、スパインの成熟に形態的な異常があることが明らかになった。またヒト痙性対麻痺に見られるProtrudin遺伝子点変異はProtrudinの分布に異常をもたらすことが明らかとなった。以上の結果は、Protrudinが硫酸化脂質と結合することによってスパイン成熟に関わる重要な分子であることを示している。
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http://www.bioreg.kyushu-u.ac.jp/saibou/index.html