研究課題/領域番号 |
17108003
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
海老原 史樹文 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50135331)
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研究分担者 |
前多 敬一郎 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30181580)
吉村 崇 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (40291413)
飯郷 雅之 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (10232109)
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キーワード | 光周性 / 甲状腺ホルモン / 季節繁殖 / 脊椎動物 / 生殖腺 / メラトニン |
研究概要 |
1.視交差上核(SCN)でどのように日長情報が処理されているかについて時計遺伝子の発現リズムをin situ法、ルシフェラーゼ発光レポーターを用いて調べた。その結果、SCN細胞の時計遺伝子(mPer1)発現リズムには光周期の影響が及ばないが、SCN全体の時計遺伝子の発現リズムは短日で一峰性なのに対し長日では二峰性になること、その原因はSCNの領域により発現パターンが異なるためであることを示した。 2.哺乳類では、給餌サイクルは概日リズムの同調因子として重要ではないが、ウズラでは強い同調因子となることをSCNの時計遺伝子発現やメラトニンリズムなどについ検討し明らかにした。 3.哺乳類の光周性反応の制御ホルモンであるメラトニンは、Dio2の発現を制御しているが、光周性に関わる分子機構は不明である。そこで、ノックアウトマウスなどを用いてDio2遺伝子発現を調べ、メラトニンの日長伝達に重要な因子を見いだした。さらに、シリアンハムスターでメラトニンが間接的にDio2の発現を抑制することを示した。 4.光周性シグナル伝達経路でMBHでのDio2発現の急激な誘導が鍵となることを既に明らかにしているが、ニワトリのジーンチップを用いて、甲状腺刺激ホルモン(TSH)βサブユニットがその誘導の引き金を引くことを発見した。すなわち、脳深部光受容器で受容した光情報が下垂体隆起葉でTSHβサブユニットの発現を誘導し、第3脳室の脳室上皮細胞の存在するTSH受容体に結合してDio2の急激な発現をもたらすことを示した(Nature,2008)。
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