研究概要 |
非平面構造をもつアミド結合を含むペプチド(オリゴマー)がヘリックス等の自己組織化した規則構造をとるかどうか、またその可能な規則構造の化学的性質・物理的性質は全く未知である。本研究課題では我々が最近発見したアミドの非平面化を引き起こす7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン構造を組み込んだβ一およびα一アミノ酸のホモオリゴマーが自己組織化構造および高次構造をとるかどうかを調査することを目的とする。窒素ピラミッドペプチドオリゴマーの自己組織化構造の可能性を研究する。本研究を実施し、キラル分子1S/1Rのホモオクタマー(8量体,n=8)が鎖長依存的にメタノール(アプロティック溶媒、水を入れてもCDスペクトルは変わらない)中で自己組織的にヘリックス構造を形成し,互いにエナンチオマーの関係にあり,オリゴマー鎖の長さ依存的に規則構造化の促進がCDで観察した。このヘリックス構造化の鎖長依存的な形成にみられる協同性(コーペラティビティ)を物性調査(熱安定性、pH依存性,溶媒極性変化)から詳細に調べ、構造の物理化学的性質を解明した。一方、ヘリックス表面の機能化を利用した機能性有機マテリアル(一酸化窒素放出オリゴマー,ヘリックス誘起剤など)の合成にもとづく分子マテリアル創製の基礎研究を展開するため、窒素ピラミッドN-ニトロソアミンの反応特性を調べ、自身は中性溶媒中でNOを発生することはないが、チオールとのS-トランスニトロソ化反応を起こすことを明らかにした。生成したS-ニトロソチオールからはNOが発生する。平滑筋弛緩作用を実際引き起こすことを示した。
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