研究課題/領域番号 |
17109005
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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研究分担者 |
芦高 恵美子 関西医科大学, 医学部, 講師 (50291802)
松村 伸治 関西医科大学, 医学部, 講師 (70276393)
塚田 秀夫 浜松ホトニクス(株), 中央研究所, PETセンター長 (10393951)
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キーワード | 神経可塑性 / 神経因性疼痛 / NMDA酸受容体 / AMPA受容体 / 一酸化窒素 / PACAP / 神経再生 / 脊髄 |
研究概要 |
神経因性疼痛はな器質的変化のため難治性と信じられてきた。本研究は神経損傷部位からの持続的入力によりグルタミン酸受容体のリン酸化やトラッフィキングなど痛覚伝達経路の機能的変化で病態が発症・維持されることを体系的に解明し、研究成果を診断・治療に反映させることを目指す。 我々は、1)神経損傷1週間後でも、グルタミン酸NMDA受容体NR2Bサブユニットの1472番目のTyr残基(Y1472)のリン酸化、神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)の活性化による機能的変化により維持されていること、2)後根神経節(DRG)でのPACAP(pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide)の発現誘導がnNOSの活性化に関与すること、3)一酸化窒素(NO)の順行性・逆行性メディエーターが脊髄における神経可塑性に重要な役割をすることを明らかにしてきた。 今年度、慢性疼痛に伴う機能的変化について以下の興味ある知見が得られた。1)慢性疼痛の発症・維持機構の解明(1)PACAPとNMDAの共刺激によりトランスロケーションが生じ、nNOSのN末側部分(1-299)がNO産生にドミナントネガティブに作用すること、さらに、トランケーション変異体を作製してnNOSのN末側のβ-fingerがPSD-95の会合とトランスロケーションに関与することを明らかにした。(2)炎症モデルラットの遷延期の腰部脊髄からPSD画分を精製し、プロテオミクス解析をしてAMPA受容体のトラッフィキングに関与するNSF(N-ethylmaleimidesitive fusion protein)が低下すること、in vito Patch-clamp(九州大学・医・吉村恵教授と共同研究)で電気生理的にCa^<2+>透過型AMPA受容体が痛覚伝達に関与する脊髄膠様質細胞で増加していることを明らかにした。2)Thy-1-YFPマウスを用いた神経再生神経損傷に伴う神経変性・神経再生過程をin vivoで可視化するために、神経選択的に蛍光タンパクYFPが発現するThy-1-YFPマウスで神経再生モデルを確立した。
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