ヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair:NER)機構に異常を持つ色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum:XP)、コケイン症候群(Cockayne syndrome:CS)、紫外線高感受性症候群(UV-sensitive syndrome:UV^sS)の原因遺伝子産物の機能解析や、その欠損による分子病態の解析を行った。遺伝子ターゲテイング法により我々が作成したA群XP遺伝子欠損Xpa(-/-)マウスにおいて、精巣が加齢依存性に変性していくこと、自然発ガン頻度が高く種々の腫瘍が各臓器に発症することを見つけ、高頻度日光皮膚がん発症以外でもXpa(-/-)マウスはXP-A患者の良いモデルになることを示唆した。UV^sS患者UV^s1KOはCSB遺伝子のヌル突然変異をホモ接合性に持ち、CSB蛋白質は完全に欠損していた。他方、CS徴候を示すCS-B患者では何らかの短縮CSB蛋白質が生成されていた。これらの結果から、短縮CSB蛋白質が何らかのgain-of-functionをもち、それがCS徴候の原因になっていることが示唆された。正常型及び短縮CSB蛋白質と結合する蛋白質を同定し、その機能を短縮CSB蛋白質が阻害することを見いだした。一方、臨床的には同じUV^sS徴候を示しTCR能が欠損している患者Kps3ではあるが、CSB遺伝子を始め既知のNERやTCR因子の遺伝子に突然変異を持たないことを確認した。Kps3原因遺伝子は新規TCR因子をコードしていると考えられたので、その遺伝子クローニングを試みた。
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