研究概要 |
造血器腫瘍における腫瘍性幹細胞を同定しその生物学的特性の解析を通して,腫瘍化原因の遺伝子異常の検索を試みた.急性骨髄性白血病(AML)幹細胞に特異的に発現する抗原TIM3を同定し,抗TIM3抗体がAML幹細胞に選択性が高く,正常幹細胞には影響しない理想的標的抗原であることを示した.また,AML幹細胞の生存維持には抗アポトーシ遺伝子Mcl-1が重要な役割を担っており,Mcl-1およびその上流シグナ分子FLT3,Stat5を標的とした新たな治療法開発の可能性を示した.慢性リンパ性白血病は成熟B細胞の腫瘍性疾患と想定されていたが,その発症起源を造血幹細胞に遡り,幹細胞に由来する疾患である概念を提唱した.
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