研究課題/領域番号 |
17109012
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
天谷 雅行 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90212563)
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研究分担者 |
小安 重夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90153684)
桑名 正隆 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50245479)
石河 晃 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10202988)
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キーワード | 自己免疫 / モデルマウス / 自己抗体 / 皮膚疾患 / 免疫寛容 / 天疱瘡 / カドヘリン / 細胞接着 |
研究概要 |
本研究の目的は、臓器特異的自己免疫疾患の標的となる末梢自己抗原に対する免疫寛容獲得機構を解明し、より選択的な免疫抑制療法の基礎開発を目指すことである。平成17年度は、天疱瘡抗原Dsg3に反応するB細胞の抹消免疫寛容の解析として、Dsg3反応性B細胞トランスジェニックマウス(AK7-B-Tr)に、病原性を有するAK23 IgG mAbを投与し、抹消リンパ組織から自己反応性AK7 B細胞が消失する機序の解析を行った。自己反応性B細胞の除去には、CD4+T細胞が必須であり、しかも抗原特異性を有したCD4+T細胞の関与の可能性が示唆された。また、B細胞が消失する過程においてapoptosisが関与することも示された。以上のことから、病的活性を持つIgGの存在により生体に何らかの危険信号が発せられると、末梢に存在していた自己反応性B細胞に対し、抗原特異的にB細胞を除去するという新しい免疫寛容機構が存在することが示唆されている。さらに、CD4+CD25+FoxP3+T細胞などの調節性T細胞の関与を検討していく予定である。 また、自己抗体産生に関与する自己反応性T細胞の解析として、Dsg3^<-/->マウスより複数のDsg3反応性T細胞クローン株を樹立した。全てはMHC class II拘束性の反応性を示したが、Vβ chain usageとT細胞エピトープとの間の関連性は不明であった。またT細胞株は様々なサイトカイン発現パターンを示した。さらに、樹立された2株のT細胞クローンについてin vivoにおける病原性を確認した。すなわち、磁気ビーズで精製したB220+B細胞とともにRag2^<-/->マウスに移植すると、抗Dsg3 IgG抗体の産生が確認され、口腔粘膜のびらんなど天疱瘡表現型の出現が認められた。さらに、自己反応性T細胞であっても、病的抗体を誘導できるT細胞クローンとできないT細胞クローンの相違点を解析し、自己抗体産生におけるT細胞の役割をより詳細に解明する予定である。
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