研究概要 |
本研究課題の目的は,センサネットワークのための高度なデータ管理を実現する統合型プラットフォームの構築である.本年度は,(1)センサネットワークノードのための動的機能交換型ミドルウェアの開発,(2)センサネットワークにおけるデータ配置・管理技術,(3)センサネットワークのためのデータ送受信技術,の3つのテーマを中心として研究開発を推進した.まず(1)に関しては,センサネットワーク環境におけるユーザインタフェースを含めた電源およびネットワークが不要のセンサデバイスおよびその制御ソフトウェアを開発し,柔軟なセンサネットワークが構築できるようにした.また,これまでに開発したユビキタスデバイスと本年度に開発したデバイスとを柔軟に連携させる枠組みを提案し,センサネットワークを活用したアプリケーションを開発できる環境を整えた.(2)に関しては,センサネットワークの通信方式としてセンサ同士が無線で直接接続されるアドホックネットワークを想定し,データアクセス効率を高めるための複製配置手法を実現した.提案手法は消費電力やネットワークトポロジの変化を考慮してデータ配置を行うため,センサネットワーク全体でのデータの可用性を高めながら消費電力の低減も実現している.(3)に関しては,データ送受信技術として1対1通信だけでなく放送型通信を活用することで効率的にデータ配信を行う技術を考案した.提案方式では消費電力や地理的な特性を考慮して放送スケジューリングや通信方式の動的な選択を行うため,高い配信効率を実現しながらセンサネットワーク全体としての稼働時間を長くできることを確認した.また,効率的なデータ検索手法を提案し,有用なデータのみを検索するTop-kクエリにおいて従来方式より低トラフィックで問合せ結果が得られるようになった.これらの研究成果は学術論文誌7篇,国際会議会議録掲載論文19篇を含む多数の雑誌や会議録に掲載されている.
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