研究概要 |
(1)低侵襲モーションキャプチャシステムの開発 従来の球状マーカの代わりにメッシュ状のマーカを用いる光学式モーションキャプチャシステムを開発した.突起がないため転倒時の危険が少なく,より低侵襲に運動を計測することができる.また,球状マーカに比べて数倍の計測点が得られ,身体による隠れの影響が少ない. (2)筋骨格モデルの動力学計算法の改良 神経内科の臨床診断で用いられる動作を健常者に行わせた運動データを用いて,筋骨格モデルの検証を行った.また,計算される筋張力がより現実的になるように,モデルおよび計算法を改良した.具体的には,骨と筋の干渉による筋の経路変化,および筋活動度の時間的連続性を考慮するモデルとした. (3)筋および関節パラメータ推定手法の開発 神経疾患を定量的に診断する一手法として,筋の静的・動的パラメータおよび関節の受動特性パラメータの推定手法を開発した.計測データとしてモーションキャプチャと表面筋電位のみを用いるため,非侵襲的で臨床応用の可能性が高い手法である. (4)リンクパラメータ推定手法の開発 骨格モデルの各部位(リンク)の質量・慣性モーメントを推定する手法を開発した.人体寸法データベースから各部位の寸法の関係を解析し,その結果をもとに身長・腰回りなど代表的な寸法を計測することにより各リンクの長さ・直径を推定し,それに基づき各リンクの質量・慣性モーメントを推定する. (5)筋機能の提示手法の開発 筋の幾何情報だけでなくリンクの慣性パラメータまで考慮した場合の,各筋が関節に発生させる運動の方向を直感的に提示する手法を開発した.これにより,幾何情報のみを考慮した場合とはまったく異なる機能を持つ場合があることを示した.
|