研究概要 |
(1)筋骨格モデルの高速動力学計算法の開発 骨格モデルのための高速並列順動力学計算法を開発・実装し,155自由度の詳細な骨格モデルのシミュレーションをほぼリアルタイムで実行することに成功した,また,二次計画法に基づく筋張力計算法を従来法に比べて大幅に高速化した。その他,モーションキャプチャデータから関節角データを計算するための計算法,筋と骨の干渉計算などのライブラリを整備した。 (2)神経筋骨格モデルの構築 運動神経を介した筋への指令と体性反射を含む神経筋骨格モデルを構築した。体性反射ループへの感覚入力として筋長,筋張力が利用でき,外力に対する反応などをシミュレートできるようになった。 (3)健常者および神経筋疾患患者の運動データベースの構築 モーションキャプチャにより健常者9人と神経筋疾患患者6人の運動データを計測し,データベースを構築した。健常者については筋電データも取得し,上記逆動力学計算により得られた筋張力情報をデータベースに加えた。このデータベースより,同種の動作であれば健常者の筋張力比に一定の相関があることを示し,それを用いて筋電データなしで生理的に妥当な筋張力を推定する手法を開発した。また,同一の動作における筋張力パターンを比較することで神経筋疾患の定量的診断が可能となる。 (4)リハビリテーション支援手法の開発 大量のモーションキャプチャデータを解析して運動の検索や可視化のためのデータベース構築手法を開発・実装した。これにより, ・計測した運動と健常者の運動との類似度を定量的に評価し,診断に利用する ・類似した運動を検索して病態に合わせたリハビリテーション支援に利用する などの応用が可能となる。また,昨年度までに開発した関節粘弾性同定法を応用して,神経筋疾患の定量的診断のための手法を提案した。
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