研究概要 |
現実世界と仮想世界を実時間で融合・提示する「複合現実感(Mixed Reality ;: MR)」に関して,主たる「視覚」に「聴覚」「触覚」も加えた「三感融合型」のMR空間を考える.本研究では,(a)現実世界で発した音刺激がMR空間に及ぼす影響とその精度,(b)現実空間に重畳される仮想物体のCG像と音像の幾何学的整合性,(c)触知できる実物体に仮想映像を重畳表示した場合の視覚・触覚の補完機能,に焦点を当てたMR空間構成法を研究し,具体的に稼動するシステムで実証する. 初年度の平成17年度は,以下の研究を行い,対外発表を行った. ・三感融合型の意義を確認するテストベッドとしての「MRアトラクション」を想定し,それに適した描画法,仮想と現実の幾何学的整合法を整備した. ・聴覚の導入に当たり,自作の3次元音場システムを開発し,視覚のMRシステムとの連結を達成した.ここで,高臨場感あふれる3次元音場空間を生成するために,予め用意した複数の頭部伝達関数の中から,体験者の頭部形状に最も適したものを効率的に選択する方法を,視覚が支援する方式で実現した. ・現実空間の音刺激を複合現実空間に反映させる機能は,複数のマイクロホンアレーをHMDに取付けて方向推定する方式で実現した,視覚シンボルを融合した実験で,その検出精度を評価した. ・上記の音刺激検出の精度を向上させるため,従来のCSP法を改良したWeighted CSP法を提案し,雑音や残響に頑健な音刺激検出システムを開発した.また検出した音刺激に対して,音センサを用いて高品質に抽出するシステムについても検討を行った. ・触覚に関しては,触知できる実物体の上に正確にCG映像を重畳表示できる位置合わせ精度を向上する方法を検討した.また,次年度以降の本格的な実験に先だって,硬化樹脂等で生成する各種物体の幾何形状モデリングを行った.
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