研究概要 |
本研究は、1600年以前に日本で作成された古文書について、原本はもとより影写本・謄写本・写真帳・目録・翻刻などあらゆる媒体に依る情報を網羅し、グルーピングすることにより、ナショナルユニオンカタログの構築をめざすものである。古文書を文化財として管理する上でも、また古文書に基づいて歴史研究を行う上でも、本データベースを構築することの意義はきわめて大きい。この計画を達成するために2008年度においては以下の研究を進めた。 1.「日本古文書ユニオンカタログ」システムを完成させるため、入力校正システムにおける検索方式の改善(検索用テーブルと底本マスターテーブルから検索用ビューを作成して、底本マスターテープル上の項目を条件とする検索を可能とする)、入力校正システムから公開検索システムへのデータ移行方式の改善(グループ番号・セキュリティの変更、グループ番号を同じくするデータの削除等により公開検索システム上で代表表示されるべきデータが適切に変更されるようにする)、公開検索システムにおける不備の解消(底本を条件に指定した場合は代表表示を選択させない等、また画面回りを使い勝手をよくするように改善)などを進めた。 2.「古文書目録データベース」より、影写本分211,086件、謄写本分231件、レクチグラフ分167件、写真帳分1,702件、原本・古写本分394件、総計213,580件を「日本古文書ユニオンカタログ」に移行し、データベースの骨格とした 3.『大日本古文書』家わけ分データ48,462件、『平安遺文』分データ5,527件、『鎌倉遺文』分データ35,125件を登録し、「古文書フルテキスト」「平安遺文フルテキスト」「鎌倉遺文フルテキスト」各DBとのリンクを実現した。 4.東北大学日本史研究室の承諾を得て、同室所蔵「朴沢文書」に関するデータ16件を登録し、同室提供の同文書データベースとのリンクを実現した。イェール大学バイネッケ図書館所蔵「古文書貼交屏風」分データ28件を登録し、バイネッケ図書館提供Digital lmages Onlineとリンクする準備を進めた。 5.上記のうち、2・4に相当するデータ213,624件を公開した。 6.長野県立歴史館、京都府立丹後郷土資料館、および三重県下において古文書原本を調査した。 7.今後の計画として、2009〜2012年度の4年間に、史料編纂所架蔵謄写本約2,100冊分のデータ82,000件と都道府県史史料編約130冊分のデータ約126,000件を登録する計画を立案した。 8.東京大学史料編纂所附属前近代日本史情報国際センター公開研究会「歴史知識学の創成」(2008年11月22日、東京大学山上会館)において、研究発表を行い、その内容を、石川徹也・横山伊徳編『歴史知識学ことはじめ(勉誠出版、2009年2月)に掲載した。
|