研究課題
アルツハイマー病(AD)の発症要因であるβアミロイドとその形成・蓄積・除去機構の分子機構の解析を通じて、新規のADの根本的治療法創出に資することを目標として研究を行った。Aβ産生にかかわるγセクレターゼの本体プレセニリン(PS)の活性制御部位として各膜貫通部位の役割を分子細胞生物学的に解析し、異なる役割を果たすことを明らかにした。バキュロウィルス系を用いてcofactorの1つニカストリンを活性状態で大量精製し、モノクローナル抗体を取得し、γセクレターゼ活性を抑制する機能抗体を作出した。電子顕微鏡単粒子解析法を駆使し、γセクレターゼの外表構造を解析した。システインスキャン法によりPS1の膜内活性中心付近に親水性環境が存在することを解明した。RNAiライブラリーを応用したノックダウンスクリーニングにより同定した、γセクレターゼ活性の調節因子surf-4やセラミド代謝酵素について、その機能解析を行い、Notch活性化に選択的にγセクレターゼ活性を調節することを示した。低分子化合物ライブラリーから得られた新規構造をもつGS155,GS416のγセクレターゼ阻害活性を実証した。CLAC-Pトランスジェニック(TG)マウスとAPP TGマウスの交配によるアミロイド蓄積の変化(コンパクト化)を病理学・生化学的に確定した。変異Aβペプチドの蓄積が神経細胞死に及ぼす影響を検証可能なトランスジェニックショウジョウバエ系を確立した。脳からのAβクリアランス受容体候補分子であるLRP-1の役割をin vivoで確定するため、血管内皮特異的LRP-1条件的ノックアウトマウスを作製した。脳内放射標識Aβの投与によるAβクリアランスの検証系を確立した。
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