研究課題
実験計画に従って、1)新規小胞体ストレスセンサーの同定および機能解析、2)小胞体ストレスセンサーOASISノックアウトマウス作成と解析、3)神経細胞における小胞体ストレス誘導性オートファジー、4)神経細胞における小胞体ストレス応答とそのイメージングについて検討した。1.新規小胞体ストレスセンサーBBF2H7およびAIbZIPを同定した。今年度はBBF2H7の細胞内機能に関する解析を行った。BBF2H7は、異常タンパク質の蓄積を感知し、シグナルと細胞質や核内に伝達するストレストランスジューサーの機能を有すること、核に移行したBBF2H7は転写因子として、CREおよびERSE配列に結合し、小胞体分子シャペロンBiP/GRP78の発現を誘導することなどを明らかにした。現在、新たに同定できた2つの新規小胞体ストレスセンサーのin vivoでの機能を解析するため、ノックアウトマウスの作成を試みている。2.小胞体ストレスセンサーOASISのノックアウトマウスの作成に成功した。このマウスは生後体重の増加が抑制されており、膝、肘関節等に発赤腫脹が観察された。病理組織学的には全身の骨量の減少がみられ骨粗鬆症に良く似た病変が形成されていた。その他の臓器組織には発生学的には異常は認められなかった。3.小胞体ストレスの際に活性化するオートファジーについて解析した。その結果、小胞体ストレスセンサーIRE1の活性化からAsk1-JNK pathwayが活性化されオートファゴゾーム形成を誘導していることが明らかになった。4.初代培養神経細胞内の小胞体ストレス応答について解析した。神経細胞の細胞体以外に樹状突起内にも小胞体ストレスセンサーIRE1、PERK、ATF6が存在し、小胞体ストレスが負荷されると、樹状突起内で小胞体ストレス応答が活性化することがわかった。
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