研究課題
アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患の治療法開発を目標に、脳神経細胞で起こる小胞体ストレス応答の全貌解明を目指している。本年度得られた成果は以下のとおりである。1、新規小胞体ストレスセンサーの同定と機能解析;小胞体ストレスセンサーATF6やOASISに構造的に類似するBBF2H7を同定した。BBF2H7は転写因子として機能し、分子シャペロンBiPの発現を促進する可能性を見出した。さらにこの分子はストレス時に翻訳レベルで誘導され、小胞体ストレス誘導性細胞死から救済する機能をもつことがわかった。2、小胞体ストレス誘導性オートファジーの分子機構;小胞体ストレス時に二重膜でつつまれたオートファゴゾームが多数出現すること、このオートファゴゾーム形成にはIRE1-TRAF-JNKパスウェーが必須であること、さらには活性化したオートファジーは異常タンパク質の排除に働く可能性を見出した。3、小胞体分子シャペロンBip誘導剤の作用機序解明と薬効評価;低分子化合物BIXは小胞体ストレスを誘発することなくBiPのみを特異的に転写・翻訳させることが分かった。また、in vitroおよびin vivoにおいて小胞体ストレス誘導性の細胞死を抑制することも明らかにした。4、神経細胞の樹状突起における小胞体ストレス:樹状突起に局在する小胞体におけるストレス応答について検討した。その結果、樹状突起内で小胞体ストレスセンサーIRE1, PERKおよびATF6がストレス依存的に活性化し下流シグナルもそれに応答することが明らかになった。
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