研究課題
アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患の治療法開発を目標に、脳神経細胞で起こる小胞体ストレス応答の全貌解明を目指している。本年度得られた成果は以下のとおりである。1)新規小胞体ストレスセンサーの同定と機能解析;昨年度同定した新規小胞体ストレスセンサーBBF2H7の神経細胞における機能について解析を行った。BBF2H7は小胞体ストレスに応答して膜内切断を受け、切断された断片が核内に移行してターゲット遺伝子の転写を促進する。BBF2H7の過剰発現細胞は小胞体ストレスに抵抗性を示し、逆にBBF2H7をsiRNAでノックダウンした細胞ではストレス感受性が亢進した。in vivoにおける発現を調べたところ、脳梗塞周辺の神経細胞に強い発現が認められた。以上の結果から、BBF2H7は小胞体ストレスを伴う脳傷害時に神経細胞で発現誘導され、ストレスから回避する役割を担っている可能性が示唆された。2)昨年度開発した小胞体分子シャペロン誘導剤BIXの作用機序について詳細に解析を行った。BIXは小胞体分子シャペロンBiPだけでなく、calreticulin, GRP94も軽度に誘導すること、ATF6ノックダウン細胞でBIXによるBiP誘導能が消失することからBIXはATF6経路に働き、プロモーター領域にERSE (ER stress rcsponse element)を有する遺伝子の発現を誘導することが明らかになった。
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