研究課題/領域番号 |
17200030
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 正明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111371)
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研究分担者 |
大橋 俊朗 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30270812)
出口 真次 岡山大学, 工学部, 助手 (30379713)
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キーワード | ストレスファイバ / 血管内皮細胞 / 平滑筋細胞 / 細胞内力学バランス / アクチンフィラメント / マイクロポスト / ひずみ速度依存性 |
研究概要 |
力学負荷を受けた細胞の応答機構の解明の1つとして、仮説「細胞内ストレスファイバが力学的センサの役目をもつ」との視点から次の3点から研究を実施した。 1.単離ストレスファイバの力学特性 細胞として血管内皮細胞および平滑筋細胞を使用した。細胞から単離されるストレスファイバにおいて、まず粘弾性を含めた力学的特性を明らかにし細胞内においてどのような応力状態になっているかを検討した。力学試験には、開発した2本の微小カンチレバ型装置を用いた。単離したストレスファイバの単純引張り特性については、単一のアクチンフィラメントのヤング率に比べて、約1000倍軟らかいことが分かっており、その機構について検討した。単離したストレスファイバに量子ドットをマーカとして結合させ、引張り試験を行った結果、部位によって不均一なひずみ分布を生じていることが明らかになった。ストレスファイバの粘弾性特性の点から、引張りひずみ速度を変えて引張り試験を行った結果、ひずみ速度依存性が明らかとなった。 2.局所力学刺激負荷による細胞内ストレスファイバの応答現象の観察 特殊なガラスピペットを作製し、内皮細胞の局所に力学的負荷をかけた。細胞には予めGFP-アクチンのベクターを投与して、アクチンの蛍光観察が可能な状態にしており、力学的負荷に応じて細胞骨格が発達していく様子を観察することができた。次年度以降はさらに詳細な観察を重ね、機構を明らかにしていく。 3.マイクロポスト基質を用いた細胞の牽引力とストレスファイバ収縮力の計測 微細加工技術を用いてマイクロポストの列を作製した。マイクロポストの高さは10μm、直径3μm、中心間距離8μmとした。この上で細胞を培養し細胞の収縮に伴う牽引力をマイクロポストのたわみから求めた。その結果、ストレスファイバによる細胞の牽引力は、約12nNであることが明らかとなった。
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