研究課題/領域番号 |
17200032
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
荒木 勉 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (50136214)
|
研究分担者 |
橋本 守 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (70237949)
紀ノ岡 正博 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (40234314)
安井 武史 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助手 (70314408)
岩田 哲郎 徳島大学, 工学部, 教授 (50304548)
東野 義之 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40075023)
|
キーワード | 分子イメージング / SHG顕微鏡 / コラーゲン分子配向 / 細胞培養 / CARS顕微鏡 / ナノ秒蛍光寿命 / コラーゲンゲル / カルシウムイオン |
研究概要 |
複雑系の中から所定の生体分子を選択的に認識し、可視化する分子イメージング顕微鏡の開発を目指している。そのための基盤技術の確立を今年度の目標としている。具体的な成果は以下の通りである。 (1)ナノ秒蛍光寿命を利用した生体内カルシウムイオン濃度の検出に関して、様々なカルシウムプローブ色素の蛍光減衰波形を調査した結果、カルシウムグリーンが最適であることを見いだした。現在、このプローブを使って細胞内カルシウム濃度分布を可視化する、蛍光寿命インメージング顕微鏡を試作中である。 (2)コラーゲンを特異的に検出するSHG顕微鏡を開発し、火傷診断に応用した。ここでは真皮コラーゲンの密度変化を検出することで、火傷深度を定量化することを目的としている。現時点では200μmまでの火傷深度が定量化できている。 (3)コラーゲン分子の3次元方向ベクトルを可視化できる新しいSHG顕微鏡の開発に着手し、実機を試作した。ここではラディアル偏光を導入して、光軸に垂直な成分のみならず光軸方向の分子配向ベクトルを検出できることが特長である。実際にアキレス腱のコラーゲン方向測定を行い、性能を検証した。 (4)細胞培養の培地としてのコラーゲンゲルに着目し、ゲルに加わる機械的な変化がコラーゲン分子配向に及ぼす影響を上述のSHG顕微鏡で観察した。その結果、局所的な圧縮や伸長歪みがゲルの配向に影響することが明らかになった。 (5)CARS顕微鏡の性能を向上させるため、2台のピコ秒レーザーの同期タイミングジターを軽減する新しい手法を提唱した。ここでは2光子検出器を用いた制御によって、2つのレーザーのパルスタイミングジターを8fsに抑制できた。その結果、実際のCARS顕微画像においてSN比が大幅に向上した。
|