研究課題/領域番号 |
17200039
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
跡見 順子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90125972)
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研究分担者 |
八田 秀雄 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (60208535)
柳原 大 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (90252725)
長尾 恭光 東京大学, 教養学部, 助教授 (80303874)
桜井 隆史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助手 (60401204)
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キーワード | 脳と筋 / 適応 / 細胞骨格 / 細胞外マトリックス / 張力発揮 / 分子シャペロン / αB-crystallin / 身体運動 |
研究概要 |
本年度は、1)脳と筋の活動ループを循環させる「適切適度な自発運動」研究として、回転ケージで飼育したマウスでは、個体のストレス応答系・HPA軸の機能分子・グルココルチコイドの日内リズムが明確化することを確認しその分子機構を明らかにした。ACTHを介した適応ではなく、視床下部からの交感神経系を介した副腎髄質のTH合成制御を介したアドレナリン合成の亢進がおそらく髄質・皮質間連携を介して皮質のグルココルチコイド合成の鍵酵素StARの日内リズム調節の明確化を誘導している可能性が示唆された(Life Sciに公表)。また運動による副腎皮質のHSP70の上昇が同時にStARタンパク質の合成時のフォールディングに関与していることが示唆された。2)細胞骨格・細胞外マトリクスを介した運動の張力発揮様態依存的な活動制御については、細胞骨格の分子シャペロン・αB-crystallinのα-crystallin domainがチューブリンのシャペロン効果に必須であることを明らかにした(Cell Stress & Chaperone, in press)。またヒト(座業高齢者)の骨格筋では、筋ホモジェネイトの沈殿分解にリン酸化αB-crystallin及びHSP27が増加しており、加齢による筋のタンパク質の変性に対応するものの、ユビキチン化タンパク質の増大を伴っており、やはり運動によるタンパク質の代謝回転の維持が健康な骨格筋には必須であると考えられた。ラットの遠心負荷及び後肢懸垂モデル実験からコラーゲンの分子シャペロンHSP47の重要性を明らかにしたが、さらに筋芽細胞を用いた実験から、HSP47が重力応答遺伝子である可能性が示唆された(Genes to Cellに公表)。またこれらの身体運動による細胞・身体連携について、東京大学の教科書補遺及び「血管医学」への連載「身体運動の知恵」としてまとめた。
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