研究課題/領域番号 |
17200040
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
中川 喜直 小樽商科大学, 商学部, 教授 (80201664)
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研究分担者 |
服部 正明 北海道東海大学, 国際文化部, 教授 (70208544)
岡野 五郎 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50117610)
原田 邦明 札幌医科大学, 付属病院, 技師 (50423760)
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キーワード | 加圧トレーニング / 筋細胞内脂肪 / 筋細胞外脂肪 / 最大酸素摂取量 / 体組成 / 骨格筋 / 脂質代謝 / クレアチニン |
研究概要 |
目的】加圧トレーニングは上肢や下肢の付け根を適度に血流制限することにより、低負荷のレジスタンス運動でも高負荷のレジスタンス運動と同様の効果が短期間で得られることが知られている。また、歩行運動のような有酸素運動についても加圧歩行を実施することによって筋断面積の増加が認められることが報告されており、運動の種類に関わらずその著しい効果が認められている。本研究では加圧歩行が筋内脂肪量、体組成、筋力、全身持久力へ与える影響について検討した。 【方法】健康な30代女性(34.1±2.6才(n=9)、身長;158±5.2cm、体重;52.5±6kg、体脂肪率;24±3.8%)を対象に、加圧による血流制限を伴う歩行トレーニングを実施した(以下加圧歩行)。被験者には加圧マスターミニ((株)サトウスポーツプラザ)を用い、大腿部基部に特製の加圧ベルトを巻き(装着圧:20mmmhg加圧圧:130mmHg)血流制限し、水平のトレッドミルを用いて、3.5km/hの歩行速度で3分間の歩行を1分の休憩を挟み、5セット合計15分間の加圧歩行を週6日2週間実施した。筋内脂肪量の測定にはプロトン核磁気共鳴法(^1H-MRS)を用いて、右足の前脛骨筋(TA)、ヒラメ筋(SOL)、内側腓腹筋(MG)を被験筋に用い、筋腹部1箇所の1cm^3セル内に含まれる筋細胞内脂肪量(IMCL)と筋細胞外脂肪量(EMCL)を定量した。また、それぞれの筋における総クレアチニン量についても定量した。筋断面積と下腿部の皮下脂肪量はMRIによって筋断層写真を撮影し断面積を求めた。全身持久力の測定には呼吸代謝装置を用いてトレッドミル走により最大酸素摂取量を測定した。体組成の計測は空気置換法により求めた。これらの測定データについて、加圧歩行前後の値を比較検討した。 【結果と考察】体重・BMI・体脂肪率・除脂肪体重などの身体特性について比較してみると、加圧歩行前後の値において有意な差は認められなかった。最大酸素摂取量についても有意な差は認められなかった。それぞれの筋のIMCL量は、加圧歩行前後の値において有意な差が認められなかった。しかしながら、SOLのEMCLについては、加圧歩行後の値が加圧歩行前の値と比較して有意に低い値を示した。総クレアチニン量については加圧歩行後のSOLの値が加圧歩行前の値に比較して有意な増加を示した。皮下脂肪量は加圧後に有意に低い値を示した。 以上のことから、2週間の加圧歩行によって体脂肪率には有意な変化が認められないものの、下腿における皮下脂肪と細胞外脂肪量の低下が認められ、局所的に筋の脂肪を消費する可能性が示唆された。
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