研究概要 |
本研究は,『科学技術コミュニケーター』としての能力を備えた理科教師の育成を目指すために,大学・大学院と科学系博物館の連携を前提とした教師教育プログラム(現職教育も含む)の開発と評価に取り組むものである。初年度では,主に,先進諸国の調査を行うとともに,愛知,宮崎,広島,神戸サイトでのプログラム開発のための準備を行った。 (1)総括グループ 総括グループでは,『科学技術コミュニケーター』としての教師教育プログラムを開発するための基本的な要件について調査・検討をすすめた。具体的には,2005年8月に本研究に関する全体会議を開催し,本研究に関連する先行研究のレビューなどを行うとともに,文献調査に着手した。また,アメリカのワシントン大学における科学技術教育プログラムに関する調査,ドイツのキール大学自然科学教育研究所,スイスのチューリッヒ・テクノラマなどにおいて調査を実施し,本研究に関わる目的・目標論,学習論,内容論,方法論,評価論についての資料を収集した。これらの資料は,データベース化し,Webで公開する準備を進めている。 (2)地域(愛知,宮崎,広島,神戸)サイトグループ 地域サイトグループは,各地域の科学系博物館と連携して,教師教育プログラムの開発準備をすすめた。初年度としては,愛知サイトでは,愛知県博物館協会に加盟する130館に対して,学校向けの教育活動の実態を調査した。広島サイトでは,科学系博物館の専門家と連携して授業づくりに取り組んだ教師(小学校教師、3校6名)を対象に面接調査を行い,「サイエンス・コミュニケーターとしての教師」に求められる資質・能力を整理した。宮崎サイトでは,宮崎県総合博物館,宮崎県高原町立高原中学校のスタッフと連携し,暫定的な研修プログラムを作成・実施した。神戸サイトでは,バーチャル博物館の構築とその利用に関する予備実験を実施した。 (3)研究成果の予備的公表 主に,2005年11月に開催された日本科学教育学会研究会(大分・別府)で研究成果を発表し,現状と問題点を整理した。また,韓国の研究協力者との議論も兼ねて,2006年5月に開催されるPCST2006(韓国)での発表準備を行っている。
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