今年度も、数次にわたる研究集会を開催し、また各々の研究班・地域や分野の担当においての調査活動・海外の研究者との情報交流活動などを展開して、研究を推進させた。 5月には、科学史学会年次大会において、国際シンポジウム「旧植民地帝国大学の科学史をどう考えるのか」を開催し、塚原が組織化し、加藤・柿原・慎が報告、また韓国からはホン・ソンジュ氏を招請して、本プロジェクトの成果についての報告をした。 また6月には、神戸大学における中岡哲郎研究会との共催でのシンポジウム、「日本近代技術の形成をめぐって」を開催し、塚原・柿原らの報告、また中島・瀬戸口らからのコメント、さらに協力者として中村征樹(大阪大学)、森田(大阪大)らからのディスカッションを得た。 国際的な研究交流としては、7月に、アメリカ・ボルチモア、ジョンス・ホプキンス大学における国際東アジア科学・技術・医学史学会におけるシンポジウム(中山茂80歳記念シンポジウム)を開催し、塚原、瀬戸口・金凡性をはじめ、国内協力者・海外の研究協力者らも参加し(発表は加藤、慎、柿原)、これまでの成果と研究の進行状況を確認・議論した。 夏季には、塚原がインドネシア・バンドン工科大学の植民地期のおける科学技術研究について、さらに北京・中央科学院および北京大学・北京精華大学での将来的な(本研究プロジェクトの)研究協力の可能性について、中国側の関係者・専門家との打ち合わせを行った。またロッテルダムで開催されたEASSTでの編集会議(EASST)には中島が参加し、情報収集と研究交流にあたった。また塚原は台湾・台北でのEASTS誌の打ち合わせ、および台南での第9回東アジアSTSネットワーク会議のための打ち合わせをおこなった。 秋には瀬戸口明久および塚原東吾の主催で、神戸大学において、ISHPSSBの隔年会議を主催し、旧帝国大学の歴史(特に生物学・農学)についてのセッション「植民地における帝国大学での生物学研究」を行った。これにはリサ・オナガ(コーネル大学)、ムン・マニョン(韓国・全北大学)、藤原辰史(京都大学)などの研究者を招請し相互の研究レビューと成果の発表を行なった。
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