研究概要 |
研究協力者を得て既に開発したクリのマイクロサテライトマーカーを用いて,国内及び韓国の99集団について集団遺伝学的解析を行い,クリが北海道の集団,北海道から本州,四国の集団,九州,韓国の集団の3つからなることを明らかにし,北海道の集団は東北北部から持ち込まれた可能性が高いことを指摘した(現在論文作成中). 縄文時代早期から我が国に存在するウルシ及び漆塗り製品について,1)漆塗り製品の漆塗膜がどの植物に由来する樹液であるのかの化学分析,2)遺跡出土植物遺体(花粉,種実,木材)でウルシ植物を同定するための基礎となる現生ウルシ属植物の形態解析を行い,識別点を見いだし,3)それを用いて遺跡出土植物遺体の同定を行い,縄文時代前期から縄文時代を通してのウルシ植物の存在を確認した.このうち,花粉については研究協力者が論文発表を行った.また,中国,韓国及び日本に分布するウルシの遺伝的構造を解明するために,ウルシ試料の蒐集に努めるとともに,SSRマーカーの開発に着手した(現在進行中). 遺跡出土木材の公開に向けたプレパラートの整理を行うとともに,遺跡出土木材の樹種同定および同定結果データベースを作成するため,データの入力と古くに5インチフロッピィディスクに記録されたデータの読み出し,変換作業を行った. 青森県の現生ヒバ約150点,津軽半島の明治時代の建築物(旧市浦営林署)の構造材20点の年輪測定を行った,十三湊遺跡出土材(100点),青森県埋蔵文化財センターの遺跡出土材約10点を借用し,順次年輪幅の測定を行っている.また,秋田県の天然スギ約60点についての年輪測定を行い,'秋田,山形の各県埋蔵文化財センターの遺跡出土材約30点を借用し,順次年輪幅の測定を行っている.
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