研究課題/領域番号 |
17201005
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
末田 達彦 愛媛大学, 農学部, 教授 (90109314)
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研究分担者 |
都築 勇人 愛媛大学, 農学部, 助教授 (70363257)
鈴木 保志 高知大学, 農学部, 助教授 (20216451)
天野 正博 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60353562)
江崎 次夫 愛媛大学, 農学部, 教授 (00036378)
松尾 芳雄 愛媛大学, 農学部, 教授 (10150327)
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キーワード | 京都議定書 / 森林の炭素収支 / 土地利用区分 / 航空レーザー測距法 / 森林の広域測定 / 愛媛県 / NASA / バイオマス |
研究概要 |
本研究は、京都議定書の炭素収支報告義務に対応した森林のCO_2吸収量の広域・精密測定法の開発を目的とし、その要諦は計画初年度と最終年度に行う愛媛全県の航空レーザー測距により異なる二時点における全県の土地利用区分と森林の森林蓄積を算定したうえ、両者の差として土地利用と森林の炭素収支の変化を明らかにすることである。本年度は、前年度に行った愛媛全県の第一回目の航空レーザー測距(総延長約1,300km、測点総計800万点)の結果を解析し、島嶼部を除く愛媛全県の(1)森林蓄積と(2)土地利用区分を明らかにするとともに、これらの結果を既存の官庁統計と比較検討した。 精度検定のため飛行距離延長×測線幅により県土面積を求めたところ、極めて単純な長方形近似にもかかわらず、54.35万haと国土地理院の値に対しわずか0.38%の過小推定に収まった。他方、森林面積は44.6万ha(県土面積の81.7%)と、官庁統計(民有林森林簿+国有林森林簿)の38.5万ha(同70.5%)に対して対県土面積比で10%を越える過大推定となった。その原因は、レーザーでは木本植生の有無という景観から森林を認定しているため、自然公園の樹林地やある程度高木化した果樹園などが含まれるほか、高度経済成長に伴い放棄されて森林化した農地が特に大きく効いているものと考えられる。 航空レーザー測距法による愛媛県の森林蓄積は1.76億m^3で、官庁統計(民有林森林簿+国有林森林簿)の8,732万m^3とはさらに大きな食違いが出た。前者の森林面積を森林簿に従い県土の70.5%とするとともに、過去の実測値との比較に基づき9%の過大推定があったとして、単純比例で当初推定を補正しても、森林蓄積は依然1.39億m^3と森林簿蓄積を5000万m^3上回っており、悪評高い森林簿の過少推定を定量的に裏付ける結果となった。
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