研究課題/領域番号 |
17201019
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
尾崎 博明 大阪産業大学, 工学部, 教授 (40135520)
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研究分担者 |
山田 修 大阪産業大学, 工学部, 教授 (10140203)
菅原 正孝 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (60026119)
濱崎 竜英 大阪産業大学, 人間環境学部, 講師 (50340617)
林 新太郎 大阪産業大学, 工学部, 助手 (60268274)
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キーワード | ナノセラミック膜 / 有害有機物 / 電解 / 光触媒 / 膜分離 / 多環有機化合物 / 多孔質セラミックス / 燃焼合成法 |
研究概要 |
汚染有機物の分離と分解の両機能を有する多孔質セラミック膜(内部層基材TiCと外部薄膜TiO_2から構成)を約3000℃で加熱する燃焼合成法により製造することを試み、元素混合成体系(TiC)の反応前充填率を変えることにより、同多孔質セラミックスの平均細孔径50μm以下、空孔率40〜60%に制御できることを明らかにした。細孔径の微細化についてはさらに検討の余地があるが、この制御が可能であることは膜フィルターの観点からは重要な知見である。また、同セラミック膜には通常の金属と同様に高い電導性があり、これを電極として使用し得ること、及び同膜が多孔質で透水性があることを通水ろ過実験により確認した。 開発した多孔質セラミックス膜の汚染有機物分解能と分解特性を把握するために多孔質セラミックス(TiC)を陰極あるいは陽極とするフェノール溶液(0.1mM)の電気分解実験を行ったところ、フェノールは電流値に応じて電気分解され、電流値1Aでは約15分間で除去率100%となった。また、汚染有機物のろ過式分解装置の実現化を想定して、陰極に多孔質セラミックスを陽極に白金を用いて同様の実験を行ったところ、やはり約15分間で100%の除去率を得た。ただしHPLCによる測定では、フェノールの分解にともなう3〜4種の副生成物が見出され、操作条件との関連も含めて同副生成物を同定中である。さらに複雑な構造を有する汚染有機物に対象を広げるため、アゾ染料(Evans blue)の分解について検討を行ったところ、約15分間でほとんど脱色され、ベンゼン環の存在や開裂を含む分解機序について検討を行っている。 以上のように本研究ではろ過(分離)と分解とを同時に行える多孔質セラミックス膜のプロトタイプを製造し、有害有機物を対象とする新規の水処理装置の開発の見通しを得た。
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