研究課題/領域番号 |
17201022
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 信夫 名古屋大学, エコトビア科学研究所, 教授 (40126876)
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研究分担者 |
齋藤 晃 名古屋大学, エコトビア科学研究所, 講師 (50292280)
山崎 順 名古屋大学, エコトビア科学研究所, 助手 (40335071)
趙 星彪 名古屋大学, エコトビア科学研究所, 客員研究員 (90318783)
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キーワード | 球面収差補正 TEM / 高分解能観察 / ナノ制限視野回折 / 炭素ナノチューブ / 準結晶 |
研究概要 |
基盤研究(A)の2年度目の平成18年度は、球面収差補正透過電子顕微鏡(Cs-corrected TEM)を用いて以下の構造ゆらぎの研究を行った。 (1)光触媒反応に伴って酸化チタン単結晶膜内に生成した酸素欠陥構造を[001]方向から0.11nmの点分解能をもつ上記の収差補正TEMで観察し、酸素欠陥に伴う歪緩和構造やせん断構造を世界で始めて実空間観察しその構造モデルを提案した。 (2)球面収差補正TEMの応用のひとつである領域指定誤差のない電子回折法を開発し、シリコンの積層欠陥の局所歪構造を解析した。またTEM結像理論を見直し、このナノ制限視野回折法の高精度化の理論を作った。 (3)10回対称準結晶をこの装置で観察し、もっとも軽い元素であるアルミニウム原子の位置も同定し、あわせてそのデータから局所の組成ゆらぎも議論した。 (4)単層炭素ナノチューブをこの装置で観察し、世界で初めて1枚の炭素六員環のTEMによる可視化に成功し、専門誌であるNanolett誌及び新聞発表した。 (5)パラジウム系金属ガラスをこの装置で観察し、中範囲規則状態をTEMによって明確に可視化することに成功した。また、ナノ制限視野回折法でこの金属ガラスの局所構造を研究した。 (6)収差補正像から実際の原子位置を同定する新しい画像処理アルゴリズムを開発し、論文発表した。 以上のように球面収差補正TEMを用いた構造ゆらぎの研究は順調に進行しており、3年度目は電子構造ゆらぎの研究を行う予定である。
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