研究概要 |
本研究では,研究開発代表者が提案した,液滴中のポリマー/溶剤間の相分離及び界面へのナノレベルの自己組織化を利用した中空粒子の作成方法であるSaPSeP法を発展させて各種の機能性カプセル粒子の創製に取り組むことを目的としている。その中でも,本年度は,特に最近見出した単中空高分子微粒子のシェル層の一部に開口部を有するミクロンサイズのカプセル粒子の生成法を詳細に検討した。まずは開口部が形成されるメカニズムを明らかにするため,開口部を有する粒子の数や開口部の面積などに影響を与える重合条件を検討し,中でも乳化剤の種類と濃度について詳細に検討した。 液滴を安定させるための界面活性剤以外に,重合過程でドデシルベンゼン硫酸ナトリウム(SDS)をさらに添加した系で観察されたシェル層の開口部は,その濃度の増加に伴い,開口部を有する粒子の割合及び開口部分の面積が増大することが明らかとなった。また,この現象はSDSに特有の現象ではなく,他の乳化剤(アニオン性,カチオン性,ノニオン性)を用いた場合でも同様であった。すべての粒子に開口部を持たせるための乳化剤の濃度は物質ごとに異なり,申請し購入したスピニングドロップ界面張力計を用いて測定を行ったところ,液滴と媒体である水の界面張力が重要なファクターの1つであることが明らかになりつつある。この結果から,併せて着手し背達成しつつあるSaPSeP法をエポキシ樹脂やウレタンなどの非ビニル系の応用検討のなかでも,開口部形成の可能性によい手応えを得られている。
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