研究概要 |
本研究では,研究開発代表者が提案した,液滴中のポリマー/溶剤間の相分離及び界面へのナノレベルの自己組織化を利用した中空粒子の作成方法であるSaPSeP法を発展させて各種の機能性カプセル粒子の創製に取り組むことを目的としている。その中でも,本年度は,香料や農薬、蓄熱物質といった有用成分のカプセル化のなかでも、ヘキサデカンを内包したカプセル粒子の生成及び、その蓄熱材への応用展開にむけての基盤研究について精力的に取り組んだ。また、昨年度に取り組んだ開口部を有するカプセル粒子についても、その生成メカニズム解明のために集中的に研究を行った. とくにヘキサデカン内包カプセル粒子については、ヘキサデカンのカプセル化に伴う潜熱量の低下や過冷却現象の発現などの諸問題を解消すべく、粒子径やカプセルシェル壁のポリマー種類などを変えたカプセル粒子を本年購入したSPG膜乳化法外圧式マイクロキットを用いて作製し、熱物性のほか、同じく本年購入した顕微鏡過冷却ユニットを用いて、加熱【double arrow】冷却に伴う粒子の変性挙動の直接観察を行った。なかでも、潜熱量の低下は、ポリマーシェル壁とヘキサデカンの相溶性が大きく影響し、相性が悪いと、カプセル化に伴いシェル壁との界面に存在するヘキサデカンが凍りにくくなるために起こる現象であった。これらの検討の結果、純ヘキサデカンと遜色のない潜熱量を有するカプセル粒子の作製に成功し、蓄熱材としての応用展開にむけてよい手応えを得られている。
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