研究課題/領域番号 |
17201027
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
宮澤 薫一 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノ物質ラボ, グループリーダー (60182010)
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研究分担者 |
須賀 唯知 国立大学法人東京大学, 工学系研究科, 教授 (40175401)
増野 匡彦 共立薬科大学, 薬学部, 教授 (90165697)
周 豪慎 独立行政法人産業技術総合研究所, 電力エネルギー部門, 主任研究員 (60271540)
前田 龍太郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 電力エネルギー部門, ネットワークMEMS研究グループ長 (60357986)
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キーワード | フラーレン / フラーレンナノチューブ / フラーレンナノウィスカー / ラマン / 液-液界面析出法 |
研究概要 |
C_<60>ナノチューブ(NT)がポリマー化構造を失う熱処理温度を調べた。まず、C_<60>飽和ピリジン溶液とイソプロピルアルコールを用いた液一液界面析出法において、C_<60>NTが最も高収率で合成できる条件を探索したところ、C_<60>飽和ピリジン溶液に照射する光の波長に応じて、収率が変化することを発見した。最も高収率であるのは、紫外線(波長約390nm)を照射したときであり、次に収率が高かった場合は、約700nmの可視光を照射した場合であった。光を吸収したC_<60>分子は、光ポリマーによるC_<60>クラスターを生成して、結晶成長のための核の成長が生じやすくなり、C_<60>NTの収率が向上したものと考えられる。本来、700nm近辺の可視光においては、C_<60>固体による光の吸収は弱い。しかし、この波長領域で励起された一重項C_<60>が、系間交差反応によって三重項C_<60>に遷移し、この三重項C_<60>が700nmの光を吸収して励起され、溶液中の電子供与体から電子の供給を受けて、C_<60>アニオンラジカルを生成し、さらに、このC_<60>アニオンラジカルがクラスターを形成するという機構を仮定すると、700nm近辺の可視光を吸収することによって、C_<60>結晶核の形成が進み、C_<60>NTの収率が向上するという機構が提案できる。C_<60>NTは作製直後はポリマーであるが、100℃の真空乾燥により溶媒を失いファン・デル・ワールス結合に戻ることが、ラマン分光分析で明らかになった。質量分析の結果、C_<60>NT中の残留溶媒は僅かであった。C_<60>ナノウィスカーは、金属触媒を含まず優れた電極になることが期待される。そこで、2500℃までの高温に加熱した結果、ウィスカー形状を保ったままグラフェン層が発達した非晶質カーボンになることが分かった。誘導体フラーレンナノウィスカーにおいては、良溶媒のフラーレン誘導体の溶解度が高すぎる場合には、どの貧溶媒と組み合わせてもウィスカーの作製が困難であった。しかし適切な溶媒を選択することにより、誘導体のモル比率が5〜33%のフラーレン混合ナノウィスカーを作製することができた。
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