平成20年度は、研究の最終段階としてこれまでの基礎的研究成果を統合し、高い機械的柔軟性をもつ統合的なデバイスを作成した。機械的柔軟性を実現するために、膜タンパク質の応答計測のために有機材料電極を用いた。これにより光センサアレイを実現し、またディスプレイと合わせた統合デバイスを作成した。以下に具体的な研究業績について述べる。 1、有機半導体を用いた膜タンパク質の応答計測:刺激に対する膜タンパク質の電気的な応答を計測する際、現在はITOなどの無機材料が用いられているが、これらは機械的な柔軟性が乏しい。そこで、有機半導体材料であるPEDOT:PSS用いてイオン感応性電極を製作した。これにより、膜タンパクであるバクテリオロドプシンの光刺激に対する応答を計測した。1mW/cm2の光入力に対して1.5nAの出力電流が得られた。 2、光感応性膜タンパク質を用いたMEMSイメージングセンサの製作とディスプレイとの統合:光感応性膜タンパク質であるバクテリオロドプシンを有機電極であるPEDOT:PSS上にパターニングし、4x4のイメージングセンサを作成した。このパターニングには、印刷技術を元としたパリレンピールオフ桧を用いた。PEOT:PSSの酸化還元反応による色変化を利用したディスプレイを統合し、高い機械的柔軟性をもつ光入力・表示デバイスを実現した。曲率半径5mmの曲げに対して、壊れず使用できることを確認した。
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