本研究目的を達成するには、1)超高速ゲノム解析デバイス、2)超高感度DNA検出デバイス、3)極微量ゲノム反応デバイスの開発と、これらすべてを融合したデバイスの創製が必要である。まず、本年度は、これら各デバイスの要素技術の開発を行った。 1)超高速ゲノム解析デバイス 幅10μm、長さ800μm程度でSNPs解析などが可能なチャンネルを開発するために、ナノ微細加工によりナノ構造体を有するマイクロチャンネルを試作した。ナノ構造体としては、異なるナノピラー構造を構築し、DNAの解析条件を検討し、高速にDNA解析できるナノ構造の開発を行った。 2)超高感度DNA検出デバイス ゲノム解析デバイスの1つのチャンネルとマイクロレンズを融合したデバイスを試作し、ナノデバイス中のDNAを検出するために必要とされる光源とマイクロレンズの組み合わせの最適化を行った。また、1つのチャンネル内のDNAから発せられる蛍光の他のチャンネルへの影響を詳細に検討することで、他のチャンネルとのクロストークのない超高感度DNA検出を実現するために必要な基礎データを収集した。 2)極微量ゲノム反応デバイス インクジェット型の液滴ハンドリングデバイスを開発するために、DNA反応のためのインクジェット技術の基本的な設計を行った。また、このインクジェット技術で、異なる粘性の液体をハンドリングするためのシミュレーション実験を行い、DNA溶液に最適なインクジェット技術構築を行った。 極微量反応チャンバーを試作し、マイクロ温度制御システムをこのチャンバーに構築することにより、この中でPCRなどの酵素反応の最適化を行い、これらの反応を100〜500秒で実現できるデバイスを開発した。
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