本研究においては、超高密度ハプロタイピングデバイスの創成のために、各過程に求められる要素技術の開発、高密度アレイ化のための集積法の検討、そして最終的な試作を行い、総合的な評価を行った。 初年度には、デバイスの構成要素となる超高速ゲノム解析デバイス、超高感度DNA検出デバイス、極微量ゲノム反応デバイスの開発を個々に行った。その結果、DNA解析のために最適なナノピラー構造の構築、高感度検出のためのDNA標識化、インクジェット型インジェクション技術の検討に成功した。次年度には、初年度に開発した各デバイスの要素技術をアレイ化する研究を進めた。マイクロチャンネルを高密度にアレイ化するために、ストレートチャネルとナノ構造体を組み合わせたデバイスの検討を進めると同時に、インクジェット型インジェクション技術がストレート型チャネルにおけるDNA導入法として機能することを実証した。最終年度は、これまでに研究してきた要素技術を用いて高密度集積化デバイスを作製するための設計・試作を行い、最終的な機能評価を行った。インクジェット型インジェクションに関しては、加電圧・周波数・波形の最適化により滴下される溶液量誤差を改善することで、最終的には10 pLのDNAサンプルをマイクロチャネルに導入して電気泳動により分離分析が可能であることを実証した。アレイ化したチップに関しては、周辺機器同士の干渉などの問題もあるためさらなる改良が必要であるが、高度集積化と超高密度化が原理的に実現可能であることを確認した。
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