サブミクロンのサイズのポリマーは、サイズによって相転移温度が異なることを実験的に見いだした。2光子重合加工法で直径200nmの細線で形成したポリメチルメタクリレート製のスプリング構造を加工し、顕微鏡下でレーザートラッピングの技術を用いて弾性率を評価した。試料ステージには加熱/冷却装置を導入し、温度を変化させながら弾性率測定を行った結果、20〜40℃でポリマーの相転移に起因する弾性の急激な変化を観察した。細線の直径が異なるスプリングを複数個加工した。ラマン分光測定からこれらスプリングのポリマー重合度がほぼ等しいことを確認した後、それぞれについて同様の測定を行った。その結果、ポリマーの細線を450nmから150nmまで減少させると、それに比例して相転移温度が約40℃低下した。実験で測定した相転移はポリメチルメタクリレートのβ転移と考えられる。本結果から、たとえ同じ重合度の同じポリマーであってもサイズによって室温で相が異なる可能性が分かった。また、このようなサイズに依存した転移温度とそれに伴う機械特性変化は、直径が500nmを超えると顕著には現れず、ナノサイズのポリマーに特有のサイズ効果であることが分かった。機械特性のサイズ依存変化をフリースタンディングなポリマー材料で実験的に示したのはこの研究成果が初めてであり極めて興味深い。また、アゾベンゼン系誘導体を含む光硬化性樹脂を用いた体積変化特性を有する機能性樹脂では、電子顕微鏡観察によって体積変化の割合を評価した。また、3次元フォトニック結晶を作製し、光照射によって格子常数が変わりバンドギャップが変化する光機能性フォトニック結晶を作製した。
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