研究課題
基盤研究(A)
飛行機製造業ではよく知られた原理であるが、設計した模型をそのまま比例拡大して得た実物大のシステムは機能しない。これは、物体の表面積と大きさ(体積)が異なる次数、すなわちそれぞれ2乗則と3乗則に従って増加するからである。同様の原理が、マイクロ/ナノメートルのサイズに縮小させたときにも働く。例えば、デバイスをmmからnmまで縮小すると、表面積/体積比は10^6倍も増加する。そのためナノ領域では、体積と慣性力はもはや重要ではなくなり、一方、複雑な物理的、力学的または電気的な特性、例えば圧力、張力、熱伝導などがこれまでの経験とは全く異なる法則としてとどまり、それらが支配的となる。現在のマシンの設計・駆動の原理はナノサイズでの複製には応用することができない。そこで本研究では、溶液中で駆動する数100nm径のポリマーの螺旋ワイヤーによるマイクロバネを作製し、その剛性を温度を変化させながら測定することでその相転移温度を測定した。その結果ポリマー名のワイヤーの径を450nmから150nmまで減少させると、それに比例して転移温度が約40℃低下した。これまでに、ポリマーにおける転移温度のサイズ依存性は、厚さ100nm以下のPMMA薄膜においていくつかの報告例がある。本研究結果は、フリースタンディングなワイヤー形状でのポリマーのサイズ依存性を実験的に観察した初めての結果であり、薄膜での報告例に比べて大きなサイズで転移温度のサイズ依存性が現れることがわかった。
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