研究課題/領域番号 |
17201034
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高田 毅士 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10302762)
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研究分担者 |
神田 順 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (80134477)
中村 晋 日本大学, 工学部, 教授 (40307806)
森 保宏 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (30262877)
岩崎 良二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (60011160)
大鳥 靖樹 財団法人電力中央研究所, 地球工学研究所, 主任研究員 (60371431)
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キーワード | 建物脆弱性 / 地震動の空間相関 / 被害の連鎖 / 被害の相関 / 余震被害 / 観測記録 / ベイズ更新 / 情報伝達機能 |
研究概要 |
本研究の目的は、都市が将来の地震に対してどれだけ脆弱であるか、大地震に対する都市の脆弱性の定量化を行い多面的に分析しながら、今後の災害対策の提言に供する新たな知見を得ることである。特徴として、都市全体を大きな複合システムととらえ、システムの構成要素である建築物、土木構造物、交通施設、情報、ライフラインなどを対象とし、これらの地震時の状態や挙動を相互に関連付けながらシステム全体の挙動を確率論的に追跡・分析する。 分析結果として、都市システムを構成する複数の要素は機能的に密度に関連しており(相互依存性があり)、ある要素の破壊あるいは機能喪失が他の要素に被害を及ぼし、あるいは都市内の重要施設の被害が都市全体の麻痺状態につながる。これらの被害発生は時間的、空間的に連鎖的に生じ確率論的扱いが最も適しており、様々なレベルの状態に至る可能性を定量化しうる。建築構造物の脆弱性評価については、都市全体から見た木造住宅の脆弱性と、その耐震化程度に関する検討を行い、都市全体の視点から木造建物の耐震化の範囲を決定する方法を検討した。また、一般建物の脆弱性の評価については、エネルギー的な考察を行い建物の非線形挙動ををエネルギーで表現する方が従来の方法に比べて適していることを確認した。次に、地震入力の空間相関特性に関する検討では、日本の最近の地震記録を用いてモデル化し、空間相関モデルを規定する地震動相関距離は地域や地震によらず、概ね15-30kmであることが新たな知見として得られた。上記の検討結果を反映させる方法として、大きなスケールの都市を対象とする前に、複数の機能的に結び付けられた複数の建物を有する大学キャンパスを対象として試検討を行った。対象とする要素として、建物、建物を機能的に結びつけるインフラ(電気、情報)を考慮に入れて、それらが地震時に同時に損傷した時のキャンパス全体としての脆弱性の評価か試み、都市全体の脆弱性の評価の方向性を示した。
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