研究概要 |
本研究は平成16年度までに室戸岬沖に設置されたGPS津波計を用い,GPS津波計のさらなる高機能化と波浪防災への応用ならびにより沖合いでの実用観測の可能性を追求しようとすることが目的である.このため,長距離キネマティック手法の開発をはじめとする様々な実験並びにシミュレーション等を実施することとしている.本年度は4年計画の最初の年度であり,まず計画の立案と基礎的な実験等に主眼をおいて研究を実施した.これまでは商用のキネマティック解析用ソフトウェアを使用していたが,解析アルゴリズム等がブラックボックスになっているためより長い基線への応用が困難であった.そこで,まずワイドレーン解を用いた新しいアルゴリズムに基づくリバースRTKソフトウェアを自ら開発した.一方,その効果を確認するため,ブイからの距離が13kmである室戸岬測候所基地局に加え,17kmの室戸市役所屋上,21kmの室戸少年自然の家の2箇所に基地局を設置してデータを取得した.この結果,繰り返し精度の観点からは13km地点では新手法が従来の手法に比べ優位であり,17kmでは同等,21kmではやや劣位である,という結果となった.一方,波浪計への展開に関しては,実用化の検討が進んだ.特にGPS波浪計の導入が国家施策として決定したことから,全国展開の手始めとして,三陸沿岸においてGPS波浪計をどのように展開し,実用に供するかについて詳細な検討を実施しつつある.こうした研究成果は2005年12月に実施された「スマトラ沖地震津波国際会議」において報告されたほか,同会議開催を捕らえて,メキシコ及び韓国からの津波専門家を招聘して同会議において研究の打ち合わせを行ったほか,港湾空港技術研究所において討論会を開催した.
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