研究分担者 |
安井 康夫 京都大学, 農学研究科, 助教 (70293917)
宅見 薫雄 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (50249166)
松岡 由浩 福井県立大学, 生物資源学部, 講師 (80264688)
山根 京子 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (00405359)
笹沼 恒男 山形大学, 農学部, 准教授 (70347350)
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研究概要 |
タルホコムギはユーラシア広域に分布し,その種内も比較的多様化しており,広域分布種の遺伝的変異を明らかにするためのモデルとして利用可能な植物種である。 このタルホコムギの種内多様化のメカニズムを研究するための効率的な手法を開発する目的で,小穂形態変異を例にとり,その地理的及び系譜的構造についての解析を行なった。本年度は、210系統を共通圃場実験に供して得た小穂形態データと葉緑体DNAハプロタイプデータを用いた数量分類解析を行ない,(1)タルホコムギの2つの亜種(tauschii亜種とstrangulata亜種)は,小穂形態により区別可能であること,(2)tauschii亜種については,分布域東部の集団で小穂が小型化する傾向があること,を明らかとした。(3)またstrangulata亜種は,特定の葉緑体ハプログループにおいて成立した亜種であることも明らかとなった。これらの結果から,タルホコムギが起原地であるトランスコーカサスから中国西部に分布域を拡げる過程で,どのように小穂形態を多様化させてきたのかについて,その全体像を考察し,原著論文を発表した。 またタルホコムギは人類にとって重要なパンコムギの祖先種の一つであり,今回明らかになったタルホコムギ遺伝的多様性の側面から,パンコムギの起原について再考察し,学会発表を行った。
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