研究課題/領域番号 |
17201048
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平松 幸三 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (70026293)
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研究分担者 |
小林 繁男 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (40353685)
岩田 明久 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20303878)
竹田 晋也 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (90212026)
金坂 清則 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (00092825)
秋津 元輝 京都大学, 農学研究科, 准教授 (00202531)
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キーワード | 東南アジア大陸山地 / 生態景観 / 自然資源利用 / 生業システム / 伝統芸能 / 衛星画像 / 地域間比較 |
研究概要 |
本研究は東南アジア諸地域で20世紀後半の風土基盤の変容を明らかにし、その結果として起こった地域住民の感性価値の変容、新たなる風土基盤の構築を解明することを目的としている。 まず、風土基盤の重要な改変である陸域大空港の新設がタイ・バンコク周辺で起こったので、この機会に閉鎖される旧空港と新空港の2空港周辺において調査した結果、音環境の急激な変化のために住民が影響を被っていることが明らかとなった。風土基盤の改変は、ラオスの多くの地点で観測され、大陸横断道路が建設されるに従い、商品経済が入り込んだ結果、休閑地や周辺森林の生態環境の急変が生じていることが明らかになった事例を調査し、また焼畑がもっとも活発におこなわれている村で焼畑土地利用の動態をGPSを用いて実測し、世帯調査ならびに衛星画像と関連づけて世帯単位での焼畑土地利用を地図化した。北部タイにおいては、地域住民が地域資源保全の実践を思想的に位置づける活動が行われていて、生態基盤の変容に対する住民の対応の一例を明らかにした。ベトナムでは、北部山地を対象にして第2次大戦以降における土地利用の変化を明らかにした。そこでは多様な社会経済的な仕組みが、自然環境の多様な利用を促し、そのことが土地利用の変化の多様性を生み出していることに関係していることが明らかとなった。ミャンマーでは、バゴー山地の村で営まれている焼畑の土地利用履歴の再構成と休閑地の植生回復状況の解析を行った。衛生画像によって70%程度の焼畑地が抽出可能なことが確認された。また、休閑地の植生回復過程を解析した結果、タケの伐採・再生のサイクルが定量的に把握できた。 その他、19世紀後半の旅行家バードの旅行記を手掛かりとして、生態環境の履歴の復原にとって旅行記や画像資料が重要な資料群をなすことをヤンゴン・ハノイトランセクトを軸とする複圏的三角形を設定することによって論証した。
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