研究課題/領域番号 |
17202006
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
竹本 幹夫 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90138181)
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研究分担者 |
大谷 節子 神戸女子大学, 文学部, 教授 (90211797)
落合 博志 国文学研究資料館, 文学形成研究系, 准教授 (50224259)
小林 健二 大谷女子大学, 文学部, 教授 (70141992)
三宅 晶子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (20181993)
山中 玲子 法政大学, 能楽研究所, 教授 (60240058)
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キーワード | 謡本 / 能楽 / 番外曲 / 能楽研究所 / 演劇博物館 / デジタル化資料 / 謡曲大成 / 国文学研究資料館 |
研究概要 |
本年度は、これまで未調査であった全国図書館等やすでに調査したが調査漏れのある可能性が強い機関の謡本調査、サ行までの謡曲の翻刻、ア行以降の翻刻の本文再検を行った。また謡曲所在目録の整理を行い、最終的な翻刻候補作品を確定した。 本年度の主な調査先は、新潟市吉田文庫、宮城県図書館伊達文庫、金沢市立図書館近世資料館、石川県立図書館、京都府総合資料館、岐阜県富加町郷土資料館、飯田市立中央図書館堀家文書などである。 この中で注目すべきは、最後の飯田市立図書館所蔵の金春喜勝奥書謡本二十冊百番である。金春喜勝は禅竹から数えて五代目の金春大夫で、天正十一年七十四歳で没した。喜勝の謡本は、これまで五十曲ほどの存在が知られている。喜勝よりも後の時代の別系下掛謡本である車屋本に次ぐ残存例を誇っていたのが喜勝本であった。今回の発見によってそれが倍増したことの意味は大きい。良質の古写本が大量に出現したことで、謡曲の本文研究が大影響を受けることは必至といえよう。研究分担者で本資料の発見者の落合博志氏によれば、本謡本はその奥書花押の様態から天正九年十二月以前の執筆であることが知られる由であり、本来は筒井順慶の所蔵本であったという。このように大量夫でしかも来歴が明確な古写本は謡本においてはきわめて珍しい。本書の本文は、その全文を翻刻すべきなのであるが、皮肉なことに発見が研究年度の最後の年末近くであったために、年度内開催の学会にその概要報告を発表することしかできなかった。しかしながら、このような研究計画があったればこそ、全国の網羅的調査の過程でこうした貴重本が発見されたわけである。本研究計画を通じて最大の発見がこのたびの落合氏の発見であった。
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