研究課題/領域番号 |
17202010
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
窪薗 晴夫 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (80153328)
|
研究分担者 |
田窪 行則 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10154957)
郡司 隆男 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 教授 (10158892)
坂本 勉 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (10215650)
馬塚 れい子 理化学研究所, 脳科学総合研究センター言語発達研究チーム, チームリーダー (00392126)
広瀬 友紀 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (50322095)
|
キーワード | プロソディー / アクセント / イントネーション / 日本語 / 鹿児島方言 / 甑島方言 |
研究概要 |
前年度までの研究でやり遂げることのできなかった鹿児島方言と甑島方言(鹿児島県甑島)のプロソディーについて研究を進めた。研究の中心は、(i)両方言においてJRやPTAなどのアルファベット頭文字語がどのようなアクセントで発音されているか、(ii)そのアクセントを支配しているのはどのアクセント規則か、(iii)40歳以上の中高年層と10~20歳代の若年層との間に、どのような違いが見られるか、以上の3点である。両方言において現地調査を行った結果、次のことが明かとなった。まず第一に、両方言とも中高年層のアルファベット頭文字語アクセントは安定しており、話者間に大きな揺れは見られない。第二に、両方言において(中高年層の)アルファベット頭文字語のアクセントは複合語アクセント規則によってうまく説明できる。これは東京方言や近畿方言と同じ結果である。第三に、鹿児島方言ではアルファベット頭文字語にA型とB型の両方のアクセント型が見られ、一方甑島方言ではA型アクセントしか見られないが、これは規則の違いではなくアルファベット文字そのものの発音の違いに起因する。第四に、両方言とも若年層のアルファベット頭文字語アクセントは中高年層のアクセントとかなり異なっており、複合語アクセント規則のような統一的な規則で説明することはできない。鹿児島方言では東京方言の影響を受けて一定のアクセント変化が見られる。一方、甑島方言の若年層アクセントは中高年層の規則性をほとんど示さず、アクセント変化というよりむしろアクセント体系の崩壊と言った方が妥当である。
|