研究課題/領域番号 |
17202018
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森安 孝夫 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70157931)
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研究分担者 |
石見 清裕 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教授 (00176562)
吉田 豊 京都大学, 大学院文学研究科, 教授 (30191620)
荒川 正晴 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10283699)
松井 大 弘前大学, 人文学部, 助教授 (10333709)
森部 豊 関西大学, 文学部, 助教授 (00411489)
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キーワード | シルクロード / 唐 / ソグド人 / トルコ人 / 突厥 / 吐谷渾 / 敦煌 / 文化交流 |
研究概要 |
代表者の森安孝夫、研究分担者の石見清裕・荒川正晴・森部豊・松井太を中心メンバーとし、さらに若手の研究協力者を加えた延べ16名が、8月10日から9月14日の36日間、中国の内蒙古自治区・寧夏回族自治区・陝西省・甘粛省の遺跡や博物館・大学・研究所をめぐり、景観・環境を実見すると共に、鮮卑・トルコ(突厥・鉄勒)・ソグド・吐谷渾関係の遺構や碑文・墓誌銘、さらには漢文・ウイグル文・チベット文古文書および織物類の実見調査を行ない、予想以上の大きな成果を挙げた。とりわけ日本人として初めて塩池県の唐代ソグド人墓の調査を遂行できたのは幸いであった。それらの成果は、最終年度の報告書にまとめるべく、昨年同様、今年度分についてもほぼ完全な内部報告書を作成し、メンバーの間でのみ共有することにした。 現地調査に参加できなかった研究分担者として、吉田豊はソグド語未解読史料の解明の作業を続けた。対象としたのは、新疆ウイグル自治区バダム遺跡より出土したばかりのソグド語文書、並びにドイツ=トルファン探検隊将来資料内の未発表部分の2種類である。白須淨眞は、10世紀中葉の敦煌莫高窟第61窟・文殊堂と9世紀後半のわが国比叡山文殊楼とを比較して東西における宗教文化の同時性を検討し、佐藤貴保は12世紀後半の西夏王国の貿易を解明する手がかりとして、当時の西夏が国境を接していない中国南部から果物を買い入れていたことを西夏の用語集から明らかにした。一方、考古学の高橋照彦は、課題に関連する陶磁器や金属器に加えて、西方系の楽器資料などについても、基礎的なデータの収集と分析を行なった。 さらに本研究課題に該当する内容の論文をActa Asiaticaの中央アジア特集号に英文で発表すべく、森安・石見・吉田・荒川の4名がそれぞれ1篇づつ執筆し、さらに編集責任者である森安が日本におけるソグド人の東方活動に関する研究史をまとめた。また森安は、初年度の現地調査で得られた知見を大いに活用し、高校世界史教員並びに大学で歴史学を専攻する学生・院生を主たる対象とした高級概説書『シルクロードと唐帝国』(講談社,興亡の世界史,第5巻)を出版した。
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