研究課題/領域番号 |
17202025
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
津波 高志 琉球大学, 法文学部, 教授 (90128489)
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研究分担者 |
池田 栄史 琉球大学, 法文学部, 教授 (40150627)
町田 宗博 琉球大学, 法文学部, 教授 (10145518)
石田 肇 琉球大学, 医学部, 教授 (70145225)
後藤 雅彦 琉球大学, 法文学部, 准教授 (30291553)
稲村 務 琉球大学, 法文学部, 准教授 (50347126)
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キーワード | 人類学 / 文化人類学 / 考古学 / 地理情報システム / 民俗学 / 奄美諸島 / 聖地 / 葬地 |
研究概要 |
今年度は考古学と社会人類学は徳之島・沖永良部島・与論島を中心にして調査を行い、形質人類学は奄美諸島との比較のため久米島にて調査を行った。徳之島では伊仙町の著名な面縄貝塚の所在地に注目し、伝承ではアジバカ(按司墓)と称される聖地および周辺の実測図を作成した。聖地の核となる丘陵の最高所は石積みされたチンシ墓(積石墓)であることが判明した。また、土地で神様とされ、一部の研究者が墓であるとしたアムト神と称される聖地については発掘を行った。その結果、近世以降を主とする陶磁器類が出土し、葬墓ではないことが明らかとなった。 沖永良部では古琉球時代の支配者の洞穴掘り込み墓に関して村落祭祀との関連を調べた。現在でも、その「骨」が祀られて神聖視されており、昭和41年までは村落レベルの祭祀儀礼の施行者である神女達が墓の内部で隔年ごとに焼酎で「骨」を洗い清めていたことが確認された。与論島では風葬墓と洗骨改葬を集中的に調査した。風葬は明治の初め頃に禁止されたが、風葬墓は現在でも子孫達との繋がりを失っておらず、また、洗骨改葬は今日でも盛んに行われており、それらに関する聞き取り・観察を行った。なお、近代の墓に関しては徳之島・沖永良部・与論・久米島から一例ずつ選択し、データベース化した。大量の個人情報を含み、直ちに一般公開は出来ないが、それが可能な方策は考えたい。 形質人類学では久米島の近世墓の人骨121個体の頭蓋形態小変異を調査し、近隣の人類集団と比較した。その結果、沖縄は、本島、奄美、先島、久米島と一つにまとまり、弥生時代人を始めとして、本土日本集団とともに、南中国や東南アジア集団との類似も見られた。これは、近年の遺伝学的研究でも言われているように、先史時代から歴史時代にかけて、本土日本からのみならず、南方からの遺伝的影響を受けている可能性を示唆する。
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