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2005 年度 実績報告書

多様化し複雑化する国際家族紛争に対応する国際家事手続法制の整備に関する調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 17203006
研究機関立命館大学

研究代表者

渡辺 惺之  立命館大学, 大学院・法務研究科, 教授 (30032593)

研究分担者 木棚 照一  早稲田大学, 法学部, 教授 (90066697)
桜田 嘉章  京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10109407)
二宮 周平  立命館大学, 大学院・法務研究科, 教授 (40131726)
佐上 善和  立命館大学, 大学院・法務研究科, 教授 (50081162)
酒井 一  立命館大学, 大学院・法務研究科, 教授 (70248095)
キーワード家事調停 / ADR / 承認・執行 / 中国家事調解 / 韓国家事調停 / オーストラリア家事調停
研究概要

韓国法関係:ソウル家庭裁判所の調停委員代表と大阪家庭裁判所の調停委員代表との交流会をアレンジし、双方の家事調停制度およびその実際の運用について意見を聴取した。韓国の家庭法院は地方法院と分離されている裁判所はソウル、釜山、大邱等に限られ、家事調停制度の運用実態も日本とかなり差がある。意見交換から受けた印象では調停委員の調停手続における意見調整的介入(Directive)機能が日本よりさらに強い印象を受けた。調停委員はグループとして裁判官の管理下にあり、事前の調書閲読によりかなり意見形成をした上で集団的な評議を経て当事者との接触をしており、日本との方法の違いはかなり大きい。調停委員は家庭法院の元事務長、学識経験者、小児科医、作家等の一般的な知識人を中心に選任されているが、調停委員に対する研修制度は確立されていない。日本の家裁の調停は韓国においては承認されることは確実であるが、個別の条項の執行については不確実といわざるを得ない。
中国関係:中国・韓国の渉外か時報関係研究者、渉外手続法研究者を招へいしたワークショップを2006年1月に開催した。中国では家事調停は裁判所での手続に限らず、職場などの各種団体において行われている。しかし、これらは離婚形成の法的効果を伴うものではなく、家庭紛争の和解的な解決をめざす一種のADRとみるべきであると思われる。裁判所による調解手続はほぼ日本の家事調停に相当するが、手続の詳細および運用の実態はまだ明らかにできていない。日本の家裁の離婚調停を中国で承認した実例があることが中国人研究者により紹介された。日中間では通常の判決承認については現在相互の保証が欠けるとの判断が一般的であるが、離婚家事調停については異なって検討する必要がある。しかし、離婚以外の家事調停の承認については先例もなく明らかではない。また、実際の執行は、外国裁判だけでなく中国の裁判についても困難があり、不透明な状況と思われる。
オーストラリア:2月に共同研究者の一部でグループを形成し、シドニー家庭裁判所、キャンベラ家庭裁判所、キャンベラLegal Aid Office,キャンベラの家事事件専門の法律事務所、シドニー大学、ANUを訪問調査した。オーストラリアの家事調停は裁判所による調停、登録された民間の紛争解決期間による調停(全国で62団体あり、mediation的かconciliation的かについてはかなり各組織により違いがある)等きわめて広く活用されている。都庁的なのは、心理カウンセラーとしての経験素養が調停委員の資格として求められており、日本と比べて心理学的なカウンセリングの性格が強い。Mediation的な意見媒介が中心であり、Directive的機能を積極的に取り入れているのはキャンベラのLegal Aidであった。調停は合意に達すると家庭裁判所のRegistrarと呼ばれる裁判官の審査を経て、裁判所の命令として発布されている。日本の家事調停は承認されるという見解が多いが、具体的な手続などは不詳であった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 離婚事件の国際裁判管轄権の決定における管轄原因としての国籍2006

    • 著者名/発表者名
      北坂尚洋
    • 雑誌名

      福岡大学法学論叢 第50巻3号

      ページ: 1-35

  • [雑誌論文] 父母間の国際的な子の引渡紛争2005

    • 著者名/発表者名
      渡辺惺之
    • 雑誌名

      判例タイムス 1189号

      ページ: 65-79

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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