研究課題/領域番号 |
17203006
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
渡辺 惺之 立命館大学, 大学院・法務研究科, 教授 (30032593)
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研究分担者 |
櫻田 嘉章 甲南大学, 大学院・法務研究科, 教授 (10109407)
二宮 周平 立命館大学, 法学部, 教授 (40131726)
佐上 善和 立命館大学, 大学院・法務研究科, 教授 (50081162)
酒井 一 名古屋大学, 大学院・法務研究科, 教授 (70248095)
中野 俊一郎 神戸大学, 大学院・法務研究科, 教授 (30180326)
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キーワード | 国際家事紛争 / 渉外家事手続 / 家事調停 / 国際離婚 / 離婚裁判管轄 / ヨーロッパ家族法 / オーストリー家事手続法 |
研究概要 |
・ヨーロッパにおける国際家族法並びに国際家事手続法の法整備がEU統一法制に向けた統合傾向が強まっている。特に国際裁判管轄に関して、わが国のような第3国の立場からは個別国の国内法とEU規則による規制との関係がわかりにくい状況が生まれている。オーストリーの国際家族法の場合、国際裁判管轄に関しては、実質的にはほとんどEU法により規定されている。 ・ヨーロッパにおける離婚法制は、離婚合意があれば、子供の養育に関わらない限り、原因を問わずに可能となっている。同意がない離婚の場合、子の養育が関わる場合についてこの福祉の観点から、制約がある。全体的に破綻主義に向かう傾向は見られるが、この点で完全破綻主義には至っていない。 ・離婚調停の制度と手続は大きく欧米モデルとアジアモデルに2分できる。アジアモデルは日本に代表される。裁判所による調停で、一般市民から選定された調停員が裁判官のコントロールの下で調停を行う。裁判と合意との手続的分離が不明確な部分があり当事者権の保証の点で検討の余地がある。調停委員の能力・資格に関する基準が不明確で、選任の手続や基準について透明性を増すことが求められる。欧米モデルは、真性のADRで、調停の結果を同意に基づく離婚の条件として裁判所が受け入れた場合に、離婚判決が下される。調停委員の資格について臨床心理の資格を要するなど、アジア型とは異なる。日本の場合も、これらのシステムの導入可能性を検討すべき時期にあるといえる。 ・カナダにおいては、調停は裁判所内で行われているが、裁判官の関与はなく、離婚調停が号された場合は、それに基づき離婚訴訟に於いて離婚判決が下されている。基本権は欧米モデルであるが、裁判所内で実施されている点では日本型ともいえる。
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